俳句つれづれ

<寄稿>おくの細道考  森 孜  高岡生物研究会JANOUS March 2014  No128

 定年も間近に迫ったころ、坐骨神経痛を患い、 腰痛と足のしびれに歩くことにも難儀し、たいそ う気弱になっていた。新宿の本社勤務から支社の ある金沢に勤務地変更を願い出た。

 当時、私の職 場は5グループ150名ほどの通信とネットワー クの技術屋集団であった。送別会の日、その5人 のリーダーから餞別にと小さな万歩計を送られた。 決して肥満体ではなかったが、坐骨神経痛による 腰痛の改善にと私の健康を案じた気の利いた贈り 物であった。

 その万歩計は大変に凝ったもので地 図が書いてあり、深川から大垣まで64の地名が きざまれていた。歩くにしたがって距離が積算さ れて、千住、春日部、間々田、鹿沼、日光、・・・ と進み、新しい地名に到達するごとに、そのあた りで詠まれた芭蕉の句が表示されるのである。

 「お くの細道」をたどり、句を楽しみながら、2,400 キロの道のりを消化してゆくという優れものであ った。単身赴任から自宅通勤の金沢勤務になり、 出勤前に万歩計を腰につけて毎朝小矢部川の堤防 道を散歩する毎日が始まった。これが私と「おく の細道」の出会いであった。

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